これがお墓?!ちょっと気になる最新の「手元供養」

今回はお墓のこと。時代の流れとともに、これまでのお墓にこだわらず、まったく新しい形で弔うスタイルが広がってきました。新しい弔い方として注目を集める「手元供養」をご紹介します。こちらのコラムは、終活サポート専任講師の池原充子さんが執筆しました。

お墓の意外な歴史

これがお墓?!ちょっと気になる最新の「手元供養」01

墓地や霊園でよく見る「石材のお墓」が建てられるようになったのは、江戸後期から明治時代にかけてです。

その当時は、望めば誰でもお墓を建てられるというものではなく、権力者や、一部の裕福な人たちだけのステータス的な位置づけで、庶民が自分たちの墓を建てることは、なかなかできませんでした。このような背景から、代々引き継がれるお墓(代々墓)がある家は、裕福であったという事ができたのかもしれません。

では、現在のように、誰でも自由に墓を建てられるようになったのは、いつ頃からでしょうか?歴史は意外と浅く、なんと、第二次大戦後あたりからなのです。

日本が経済的に成長し、一人前になった証しとして「マイホームとお墓」を持つという考え方が徐々に広がっていきました。家のシンボルとしての「お墓」を、その子供たち守っていく、という意識が広まっていったのです。

墓守がいないという現実

しかし、高度経済成長とともに、家族の形にも変化が起こってきます。先祖を敬い、お墓を守っていくことで、家の繁栄を願うはずが、時代の移り変わりとともに、先祖のお墓を守っていく子孫、いわゆる「墓守」が少なくなり、「無縁墓」や「墓じまい」が増加してきました。

先祖のお墓を守っていくということが大変難しい時代になってきたのです。

新しいお墓の形

どのような時代であれ、「大切な人を想う」という気持ちに変わりはありません。お墓に埋葬し、供養することで、故人の魂が成仏できるという概念は今も根強くあるため、その想いが昇華されていく過程で、様々な供養の形が登場してきました。

今では一般的になった、「納骨堂」や「樹木葬」、「散骨」などに加えて、最近注目を集めているのが、「手元供養」です。

これは、

  • 「地元から離れて暮らしているため、お墓まいりができない」
  • 「手を合わせたいと思った時にいつでもできる」
  • 「最後は家で、という思いを叶えたい」

といった様々な「想い」が形となった新しい供養のスタイルです。

例えば、お仏壇とお墓が一緒になっており、自宅に置いておける「納骨仏壇」

(フリーズドライ技術を施した美しい花の納骨仏壇。下の台に粉骨した遺灰をおさめます。)

大切な方の遺灰を身につけることができるペンダントのような「アクセサリー」

遺灰を特殊加工して、「ダイヤモンド」に

(ご遺骨から炭素を抽出し、ダイヤモンドを製作します。)

とても遺灰が入っているとは思えない綺麗なガラスポットの「ミニ骨壺」

(インテリアとしても、全く違和感がないお骨壺)

など、見た目は、まるでインテリアのような、スタイリッシュなお墓がたくさん登場しています。 いずれも、従来のように、埋葬されたお墓におまいりに行くというスタイルではなく、故人を身近に感じながら、いつでも弔うことができるという点が、今の時代により合致した「新しいお墓の形」だと言えます。

これらの「手元供養」は、なんらかの理由でお墓を建てられない方や、嫁いでしまって墓守ができないのではないかと心配する一人娘の方、故人をできるだけ身近に感じたい方など、それぞれの状況に合った供養の方法として、大変注目されています。

「弔う形」は、人それぞれ

従来のお墓とは全く違うスタイルに、戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。

手元供養をしたいと思っていても、ご家族や親戚の反対意見があるかもしれません。

また、

「法律的には問題ないのか?」とか、

「やっぱり遺灰は、土に還した方がいいのでは?」といった疑問や、

「分骨したら、成仏できないのでは?」といった不安がある方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時は、「そもそも、お墓とは、何のためにあるのか?」を考えてみてください。お墓は、「故人を弔い、偲ぶ」ためにあるものですが、「遺された人の悲しみを癒すために必要な、故人を感じられる場所」でもあります。

これらの手元供養は、法律的にも宗教的にも、何ら問題はありませんし、大切な人を失った悲しみの深さは、誰にも測ることはできません。悲しみを受け入れながら癒していくためには、時間だけでなく、こういった新しい供養の形が今後ますます必要になるのかもしれませんね。

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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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