エンディングノートの保管場所と家族への伝え方

エンディングノートの保管場所は盗難を心配して隠しすぎると家族が見つけられなくなり、家族の目につく場所に置くと盗難の心配があります。では、エンディングノートの正しい保管場所とは?

エンディングノートはどこに保管する?

エンディングノートの保管場所と家族への伝え方01

保管場所の条件

エンディングノートの保管場所は、家の構造や家具の配置がそれぞれ異なるため、残念ながら“ここがおすすめです”と一概にご紹介することはできません。また、“この場所が良い保管場所です”、とおすすめすることは盗難の点から考えても危険です。ですので、エンディングノートの保管場所に望ましい場所の条件2つをご紹介しますので、自分の家で条件を満たす場所を探していただきたいと思います。

保管場所に望ましい場所の条件

  • 盗難に合わない場所
  • いざという時に見つかりやすい場所

実は、この2つを満たす場所を考えるのは非常に難しいことです。なぜならば、“盗難に合わない場所”と“いざという時に見つかりやすい場所”は相反する場所だからです。 盗難に合わない場所というのは、人目につかない場所、他人が簡単に見つけられないような場所です。

それでいて、いざという時には見つかりやすい場所でなければなりません。 ですので、エンディングノートに書いてある内容に合せて、この2つの条件のバランスを変えて保管場所を探してみてはいかがでしょうか。 例えば、財産相続や銀行口座など盗難にあった時に困るものがメインに書いてある場合、人目につかない・簡単に探せない場所を重視します。

延命治療の希望や葬儀のことなど、いざという時にすぐ見て欲しい内容で盗難にあっても損害の可能性が低いものがメインに書いている場合、いざという時に見つかりやすい場所を重視して保管場所を探します。

避けるべき保管場所

  • 貸金庫
    貸金庫の良い点は紛失・盗難の可能性が限りなくゼロに近いことです。しかし、エンディングノートは書いた本人が意識不明や危篤になった時・亡くなった時に家族が見るものです。
    家族を含め本人以外の他人が貸金庫を開けるためには煩雑な手続きが必要で、エンディングノートを手にした時には既に遅かったということもあり得ます。
  • 人に預ける
    家族がエンディングノートの存在を忘れて見つからないより、人に預けた方が確実と思うかもしれません。預けるからには相当の信頼がある人だとは思いますが、紛失・盗難・盗み見のリスクはゼロではありません。
    万が一、紛失・盗難・盗み見が起こった時、トラブルになることは避けられず、せっかくの信頼関係も破綻してしまいます。また、書き直したいと思った時すぐに手元にノートがないのも困るので、人に預けず、自分で管理しましょう。

エンディングノートの保管方法と家族へどのように伝えておくのが良いか

エンディングノートの保管方法

エンディングノートは1冊にまとめるという考えが一般的だと思いますが、エンディングノートを数冊に分けて書き、情報の内容に適した場所に分散して保管するという方法もあります。

分散させることで情報の重要性に応じた保管場所に置くことができるほか、相手に見て欲しい情報や見て欲しいタイミングに分けて書くこともできます。

例1)見る相手ごとに分けて書く

見る相手を配偶者、自分の兄弟、子供に分けて書くとします。例えば、配偶者には、財産相続や銀行口座・クレジットカードの情報といったお金関係のこと、延命治療の希望、葬儀の希望など重要性が高い情報がメインとなります。遺言書を添えても良いでしょう。自分の兄弟には自分の親の医療や介護についての希望やメッセージ、子供にはメッセージや形見分けしたいものを書くとよいでしょう。このように見る相手を分けて書くことで、メッセージや借金など限られた人にしか見られたくない情報を管理することができます。 そして、重要性の高い配偶者用は盗難に合わない場所を重視し、自分の兄弟用と子供用はいざという時に見つかりやすい場所を重視して保管します。

例2)緊急時用と亡くなったあと用に分けて書く

緊急時用には、延命治療の希望、危篤を伝えて欲しい相手の連絡先、葬儀の希望などを書きます。亡くなったあと用には、財産相続、携帯電話や運転免許証など解約・返却が必要なものの情報、家族へのメッセージ、形見分けしたいものなどを書きます。 そして、緊急時用はいざという時に見つかりやすい場所を重視し、亡くなった後用は盗難に合わない場所を重視して保管します。

例3)延命治療の希望、葬儀の希望を別紙に書く

エンディングノートに書いた他に、延命治療の希望と葬儀の希望を別紙に書きます。書いた紙をお財布の中や健康保険証、救急車・病院の連絡先と一緒に保管しておくと、いざという時に目につきやすく見つけてもらいやすくなります。

家族への伝え方と注意点

エンディングノートは家族が見ることを前提に書いている場合がほとんどですので、書き終わったらエンディングノートの存在と保管場所を家族に話しましょう。
個人情報のかたまりであるノートですので、保管場所については必要に応じて話す人を限定してもよいでしょう。

  1. 大事な内容は家族に相談しておく
    できれば、エンディングノートの存在だけでなく、延命治療の希望や病名・余命の告知希望、お葬式やお墓のことについて自分の考えを家族に相談しましょう。これは、いざという時、エンディングノートにどのような本人の希望が書かれているかを知っておくためと、家族の同意を得るためです。本人の希望は大事ですが、家族全員がその考えに同意できていないと実行されない可能性があります。あくまでも、実行するのは家族ということを忘れないでください。
  2. 理由と一緒に自分の希望を話す
    自分の希望と共に、なぜそのように希望しているのかという理由を伝えることも大切です。例えば、本人が余命の告知を希望していたとします。しかし、家族は余命を知らせるのは残酷なことだと考え、告知しないつもりでいます。この時、“死んでしまう前に会っておきたい人がいるから”“死ぬ前にやっておきたいことがあるから”という理由を知っていたら家族はどう対応するでしょうか。おそらく、ほとんどの家族は告知するのではないでしょうか。
  3. 元気なうちに話しておく
    延命治療の希望や病名・余命の告知希望、お葬式やお墓のことは、元気なうちに家族と相談しておく方が望ましいです。今は元気でも、いつ病気・ケガになるかは誰にもわかりません。そして、病気・ケガで健康状態が不安になってしまうと、家族は深刻な話に動揺するかもしれません。また、縁起でもないと相談にのってくれないかもしれません。ですので、まだ元気だしエンディングノートはもっと年をとってから、と考えている人は“元気なうちに”エンディングノートを書いてみてはいかがでしょうか。エンディングノートに早すぎるということはありません。

家族が自分の葬儀・相続のことでもめないために

葬儀・納骨が終わり、遺品整理をしていた時にタンスや本棚からエンディングノートが見つかったという話はよくあることです。きっと、エンディングノートを書いたことを家族に話し出せず、そのまま亡くなってしまったのでしょう。

ノートを見てみると、すでに終わった葬儀や納骨についても本人の希望が書いてあります。もし、本人の希望と実際に行った葬儀や納骨方法が異なっていたら、家族は本人の希望通りにしてあげられなかったという後悔や申し訳なさを感じます。
ともすると、“どうしてノートを書いていたことを一緒に住んでいながら知らなかったのか”、“すでに納骨してしまったけど、やり直すべきか”と家族がもめる可能性もあります。

また、子供が相続の分配で骨肉の争いをし、関係がすっかり崩壊した後、相続の分配について書かれたエンディングノートが見つかることもあるでしょう。

エンディングノートを書こうと思った理由に“家族が困らないようにするため”が少しでも含まれている人は、必ずエンディングノートが必要なタイミングで家族の手に渡るように工夫をしなければなりません。そうでないと、自分の希望が伝わらない以上に、後から見つかったノートが原因で家族が後悔したり、もめることになります。

そのためにも、エンディングノートの保管場所選びを慎重に行い、家族にノートの存在や内容を伝えておきましょう。

また、自分の希望を一方的に書き記すだけではなく、家族が自分の希望を検討・実行しやすくなるようにフォローすることも忘れてはいけません。

例えば、契約はしていなくても検討して欲しいお墓・葬儀場などがあれば、パンフレットや関連するホームページを印刷した資料などをノートと一緒に保管しておきましょう。

【エンディングノートの保管場所と家族への伝え方のまとめ】

エンディングノートの保管場所は、“盗難に合わない場所”と“いざという時に見つかりやすい場所”の2つの条件を満たす場所が望ましいです。ノートに書いてある内容の重要性のレベルによって、2つの条件のバランスを変えて保管場所を検討してみましょう。

また、貸金庫や人に預けるという保管方法はおすすめできません。 保管方法にはエンディングノートを数冊に分けて書き、分散して保管するという方法もあります。書いてある内容の重要性によって保管場所を変えることや、必要な情報を見て欲しいタイミング・見て欲しい相手に伝えることができるのが良い点です。 エンディングノートを保管する際には、ノートの存在だけでなく、できれば大事な内容についても家族に話し、相談しておきましょう。

話す時は、それを希望する理由も伝えると家族に納得してもらいやすくなります。 エンディングノートが後から見つかると、自分の意志が反映されないだけでなく、家族のもめ事や後悔の原因になります。家族が困らないようにノートを書いたのであれば、ノートが必要なタイミングで家族の手に渡るように保管場所を工夫し、家族への相談を怠らないようにしましょう。

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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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