知らないと損をする遺言書の書き方について

遺言書は契約と同様に法的行為になりますが契約のように両者の合意ではなく、単独で効力を発揮します。遺言は満15歳になり、意味を理解できる程度の意思能力があれば、だれでも遺言を行えます。

遺言書の書き方のキホン

遺言は自分の死後に、残された家族に対して財産の分割、処分方法を書き出す手段です。法で定められた用件が守られていれば全ての相続人による合意等の特段の理由がない限り遺言の内容を前提に相続手続きが進められる。

日本の法律では遺言者の意思を尊重するという理念から強い法的効力があります。遺言の残してしまうことによって余計に揉めてしまうのでは思う方もいますが、遺言があることにより財産相続からおきる争いを抑えることに期待が持てます。

遺言書の作成方法(種類)は3通りのメリットデメリットについて

自筆証書遺言

遺言者が自筆で遺言書を作成します。“自筆”なので、他人の代筆やパソコンによる作成は認められません。ただし、2019年1月13日に施行された法改正により、相続財産の全部または一部の目録を添付する時は自筆でなくてもよいことになりました。自筆でなくてもよいのは目録のみであり、自筆で書かれていない目録にはそのページに署名と押印する必要があります。

メリット

特別な手続きが不要で自分だけで費用をかけずに遺言書が作成できることです。

デメリット

内容に少しでも不備があると法的効力を失うことです。

また、自己管理による保管になるため、盗難・紛失・偽造のリスクの対策を考える必要があります。

公正証書遺言

公証人が遺言者から遺言内容を聞き取りながら、公証人が遺言書を作成します。その際、2人の証人が立ち会います。

メリット

プロの公証人が作成するため内容に不備が生じて効力が失われる可能性が低いことです。また、遺言者本人が自筆しなくてもよいので、自筆が難しい人(手・目が不自由な人など)でも構いません。さらに、遺言書原本は公証人役場で保管するため紛失・偽造の心配がなく、仮に遺言者が持っている正本(または謄本)を紛失してしまっても再発行ができます。

デメリット

公証役場に事前申請が必要で時間・手間がかかることです。また、手数料は相続財産の金額によって決まります(5000円~)。

秘密証書遺言

遺言者と2人の証人と同行して遺言書を公正役場に持っていき、遺言書の存在を保証してもらう形式です。“秘密”証書遺言という名前だけあって、証人や公証人に遺言書の内容を公開する必要はありません。なお、遺言書の保管は自分で行います。

また、遺言書は自筆証書遺言とは異なり署名と押印を自分で行えば、残りの部分は他人の代筆やパソコンでの作成が認められています。

メリット

内容を秘密にしたままで遺言書の存在を保証してもらえることです。

デメリット

内容に少しでも不備があると効力を失ってしまうことです。

遺言として法的効力を持つのは「法廷遺言事項」に含まれる、相続に関する事項・財産処分に関する事項だけで相続人はそれ以外の遺言に従う必要はありません。

遺言書検認の流れ

公正証書遺言以外の遺言は、家庭裁判所で検認の手続きが必要です。

遺言書を見つける

遺言書を発見していても、その場で開けてしまうと偽装などを疑われてしまうので、見つけても勝手に開けないようにする。

家庭裁判所へ検認の申し立てを行う

遺言書を保管または、発見した人が住所地を管轄する家庭裁判所に検認を申し立てる。その際に遺言書の検認申立書や被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など書類を用意する。

検認の期日を決定する

遺言書の検認をする日を決定する。日付が確定したら家庭三番所から相続人などの利害関係者に通知される。

遺言書を検認する

検認日当日に相続人やその代理人などの関係者が立ち合い、裁判所が遺言書を開封する。

検認済み証明書が作成される

遺言書の内容や訂正状態を確かめられたら偽造・変造を防ぐためで検認証明書が作られる。検認証明書は遺言書の原本に添付され、申立人に返れれる。

遺言書はどこまで有効? メリットと無効になるケース

遺言書を作成すれば、遺産相続をめぐるトラブルを防げる

遺言書を作成すると、以下のようなメリットが得られます。

1遺産相続をめぐる争いを防げる
遺言書の内容で特に重要なのは、遺産相続に関する指示です。「誰がいくらもらうか」をめぐって遺族が争いを繰り広げることは、まったく珍しくありません。遺産分割の割合を遺言書で決めておけば、遺族の争いを未然に防ぐことができます。
2遺産分割協議の手間が省ける
遺産の配分は、法定相続分を目安としつつ、遺産分割協議によって決定するのが基本です。相続人の人数が多いと、大きな争いがなくても意見がまとまりにくく、なかなか結論を出せません。遺言書で遺産分割の割合を指定すれば、協議の手間を省き、遺族の負担を軽減できます。
3内縁の妻、子の配偶者などにも遺産を相続できる
遺産を相続する資格があるのは、原則として法定相続人(配偶者、子、親など)に限られます。内縁の妻・夫や子の配偶者は、どれだけ仲がよくても相続の対象となりません。しかし、遺言書で指定すれば、これらの人々も遺産を相続することできます。仕事でお世話になった人など、親族以外に遺産を譲ることも可能です。
4問題のある人に遺産を譲らずにすむ
親を虐待していた子など、明らかに問題のある人物であっても、遺産を相続する資格は持っています。どうしても遺産を譲りたくない時は、遺言書にその旨を記載すれば、相続の対象から外すことが可能です。これを相続の廃除といいます。ただし、認められるケースはあまり多くありません。
5子の認知ができる
親が認知していない子は、遺産相続の対象となりません。認知する旨を遺言書に盛り込んでおけば、法律上の親子関係が成立し、遺産を相続することができます。一応、認知せずに遺産だけを譲ることも可能ですが、遺族を納得させるためにも認知をしておくべきでしょう。
6国に財産を持っていかれずにすむ
法定相続人が1人もおらず、それ以外の人への遺贈も行わなかった場合、遺産は国庫に入ることになります。用途もわからないまま国に財産を持っていかれるのは、納得できない人もいるでしょう。友人や仕事の関係者など、お世話になった人に遺産を譲れないか検討してみてください。

遺言書は内容に不備があると無効。遺言能力の有無にも注意
せっかく遺言書を作成したのに、内容に不備があって効力を発揮せず、遺族の争いを招いてしまった。これは絶対に避けなければならない事態です。天国で後悔しないよう、遺言書が無効になるケースを知っておきましょう。

自筆証書遺言が無効になるケース

パソコンで作成した

自筆証書遺言は、手書きでなければならないと定められています。「読みやすいように」と気を使ってパソコンで作成すると、無効になってしまうのです。レコーダーで録音した遺言など、文書以外の方法で残したものも無効となります。

 

押印、署名、日付がない

遺言書が法的な効力を発揮するには、押印・署名・日付の3つが必要です。これらのいずれかが欠けている場合はもちろん、押印や署名が他人のものだったり、明らかに作成日とは異なる日付が記載されていたりすれば無効になります。

 

他人が作成したか、2人以上で書いた

遺言書は、遺言を残す本人が作成しなければなりません。他人に代筆を頼んだ場合、その遺言書は無効となります。また、遺言書を2人以上で共同作成することはできません。夫婦や兄弟が1通の遺言書を共同で作成しても、無効になってしまうのです。

内容が不明確

遺言書では、「誰に対して何割」というように、相続の内容を明確に記載する必要があります。「妻には遺産を多めにあげてほしい」など、内容が不明確な場合は無効となるのです。

遺言能力がない人が作成した

法律上、遺言を作成できるのは満15歳以上になってからです。それより若い人は、遺言を作成することはできません。また、認知症などで判断能力が低下している場合も、遺言能力がないと見なされる可能性があります。

遺留分に関する定めに反している

配偶者や子供には、受け取れる遺産の最低限の割合が決められており、これを遺留分といいます。「長男が嫌いだから一切相続をさせない」というような、遺留分の定めに反した遺言は無効となるのです。どうしても遺産を相続させたくない相手がいる場合は、相続の廃除を検討してください。

公正証書遺言が無効になるケース

公正証書遺言は、公証役場で作成・保存してもらうため、内容に不備が生じることはまずありません。

公証人もしくは証人が不在の状態で作成するか、資格のない人が証人となっていた場合は無効ですが、相当な悪意を持って作成しない限りはこのような事態は発生しないでしょう。

 

注意が必要なのは、遺言者に判断能力がなかった場合です。

認知症や薬物の影響で判断能力が低下していれば、自筆証書遺言の場合と同様、遺言が無効化されてしまうことがあります。

実際に無効となった判例も存在しているので、あらかじめ病院で検査を受け、判断能力があることを確認しておきましょう。

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